前回のブログ「なぜ、感じのいい人ほど、うまく話せないのか」の中では、
うまく話せない理由は「話すスキル」だけが原因なのではなく「優しさ」にあることをお伝えしました。そこで今回は、「優しさ」は性格ではなく「習慣」として捉えることで「なぜ、うまく話せなくなるのか?」という理由を、次の3つの点から理解していきましょう。
◆1.「我慢」することで、大人に褒められた。
本来、子供はワガママです。歩き疲れた時やぐずぐず甘えたい時は、「抱っこしてぇ」と小さな手を、ママやパパの顔をめがけて伸ばして抱っこをアピールします。そして欲しいのはスキンシップだけではありません。お気に入りのお菓子やオモチャだって欲しいのです。そんな時は堂々と「買って買って」と親におねだりをします。遠慮なんてありません。本能のままに堂々とアピールできのです。
それでも子供は、大きくなりながら『我慢』することを覚えていきます。その一つは、親からの「躾」です。「昨日も買ったでしょ」とか「今はダメよ」と言われながら、今までのようなワガママは許されず「我慢」することをを、だんだんに覚えていきます。そしてもう一つは、立場がかわった時です。たとえば弟や妹が生まれると、親から「お兄ちゃんなんだから」「お姉ちゃんなんだから」と言われ、まだ子供なのに親からの期待がかわります。
そして、どちらのシーンでも「我慢」するこで知る体験があります。それは、ワガママを言わずに我慢をすれば『偉いわね』と親に褒められる、ということです。それは子供にとっては嬉しく、大好きな親の役にたっているという誇りだってあるでしょう。そうやって子供のうちは堂々と言えていたワガママが、育つ中で「我慢」にかわっていくのです。
「我慢」することで褒められることは、なにも親という大人だけではありません。学校に行くと、次に先生という大人に出会いますで。そこでは、先生に反抗をせず、従順に過ごしていれば、「大人しくて偉いわね」と先生に、みんなの前で頭をポンポンされながら、褒めてもらえたかもしれません。
つまり、我慢したり従順でいることで、大人から「褒められる」という嬉しさを知るのです。そうやって、子供は徐々に、本心を言わなくなっていくのです
◆2. 遊びの中で身につけた
本心を言わなくなるのは、大人との関係性だけではありません、子供同士のなかにだってあります。それは遊びの中で身につけていったものです。たとえば、野球やサッカーのような遊びは、点数を競いあう「競争」なので、励ましあいかたがストレートです。「オイオイお前、何やってんだよ」「次の球は見逃すなよぉ」など、声をかけ合います。でも、遊びが「リカちゃん人形」だったりすると、どこか「みんな仲良くね」という空気があって、「協調」が求められます。すると。お互いが傷つけないように、なんでもないことを褒めあったり、励ましあったりします。なので、遊びの中でズバリ本心を言い合うことはありません。それは、誰かを傷つけてしまったり、悲しませてしまっては「みんな仲良くね」というルールは破ることになるからです。
そのせいなのか、持ち物など「可愛いー」と、つい声をかてしまう大人の女性もたくさんいらっしゃいます。それは「みんな仲良くね」というルールの中で育ったからなのです。
◆3.大人しくいるとで「得」をした。
世間では「いい人は損をする。」と言われていますが、私はそうは思っていません。というよりむしろ「得でしかない」とさえ思っています。
というのには、いくつかの理由があります。まず、従順でいれば「敵」を作りません。社会に出ても、少し控えめでいることで周りから「好感」を持たれます。もしかすると、ちゃっかり「特別扱い」されるかもしれません。
しかも、上司や先輩が言うことを「ハイハイ」と受け入れることで、目にかけてもらえたり、えこ贔屓されたりしていきます。そうやって、ちゃっかりと職場の中の安全地帯に潜り込めるというわけです。人生の荒波といわれる社会の中にいても、いい人は「お得」でしかないのです。
以上のような経験を通して、「自分の意見を言わない習慣」を、知らずに身につけていったのです。ですが、お気づきの通り、このままでいては限界がきます。「自分の意見を言わない」でいることで得られる「お得感」なんて、すぐになくなります。怖いのは、自分の意見を言わないことで、やがて人に振り回されていってしまうことです。
このように「うまく話せない」理由は、人によって違うものなのです。ですから、話し方をレッスンを始める前には、「理由」をみつけることから始めていきます。私は、気遣いのできる「優しい人」こそ、社会の中で活躍すべき人だと信じています。